生育不良は根を見よう!根と土の調査
低木の調子が悪いということは、マンションではよくある現象です。改善のためには、まず正しい現状把握が必要なので、その調査事例をご紹介します。
低木の調子が悪い、その原因は?
マンションで多い植栽の不調として、「ツツジ・サツキ等の低木類が葉も花も少ない。少しずつ枯れていく」ということが多くあります。
植物の不調の原因は様々にありますが、よくある原因としては
「光不足」「土がよくない」「水が少ない」
ということです。
何が原因かを知り、適切な対策をとるためには、
植えられている状況を見ることと、土と根の状態を見ることが大切です。
あるマンションで、根を掘って調査した例をご紹介します。
生育の良いツツジと、悪いツツジの違い
このマンションでは、敷地内に生育の良い部分と悪い部分がありました。
そこで、両方のツツジの根を掘りとって調べてみました。
■生育がいいほうのツツジ・サツキ
こちらが生育の良い部分です。
奥がツツジ、手前がサツキですが、葉も密な状態です。
(3月初旬のため紅葉しています)
抜き取るのも大変なくらいに、根が
よく張っていました。写真は根を切てしまっていますが、深さで40~50cmほどまで伸びていました。
水や栄養分を直接吸収する「細根(さいこん)」も沢山ありました。
土の状態です。
少なくとも深さ30cm以下まで良質な黒土が入っていました。
■生育が悪いほうのツツジ・サツキ
ツツジ・サツキともに、葉が少なく上から地面が見えている状態です。花も毎年少なめにしか咲きません。
掘りとった状況です。
少し掘って引っ張ると比較的簡単に抜けました。
根は深さ15~25cmくらいまでにあり、底面が平らになっている状態でした。
根の深さ17cmくらいの部分
水や養分を吸収する「細根(さいこん)」もありますが、量が少ない状態です。
土の状態は、表層10cm程度まで良質な黒土が入っていましたが、それより下はコンクリート片も混ざった土が、固く締め固まっている状態でした。
phも測定しましたが、少しアルカリに傾いていましたが、大きく問題となるほどではなく、下の土をほぐして、上の黒土と混ぜればほぼ問題のない土になると思われました。上下で色が変わっている部分が境界線です。
コガネムシの幼虫(根を食べます)も数匹見つかりました。
状況のまとめ
植えられている状況と土の状況から、以下のように考えられます。
■生育のよいツツジ
・根が深く(40~50cm程度)、多い
・葉が多いので、地温が上がりにくく、熱による根の傷みが起きにくい(根は熱に弱いです)。
■生育の悪いツツジ
・根が浅く(15~25cm)、少ない
対策としては、土の改良が一番の近道です
※番外編 日照不足の場所
